会社と社長との動産の貸し借りに注意!

会社と社長との動産の貸し借りに注意!

中小企業では、会社と社長個人の間で、住宅や事務所などの不動産を貸し借りしているケースがよくあります。このような場合、税務調査でよく家賃について指摘されることがあるので、注意が必要です。

所長
多望社長のお住まいは、会社の所有になっていますね。会社と社長との間で、不動産の賃貸借契約書を交わしておられますか。

多望
私の会社が所有している場合でも、賃貸借契約書が必要なのですか。

所長
法律上、会社と社長は、別個の存在ですから、会社と役員との取引になります。税務調査では、会社と役員とが行った取引については、契約書や議事録の有無などが確認されますよ。

多望
ところで、税務上、家賃はどうすればいいのですか。

所長
会社が社長に社宅として住宅を貸しているわけですから、この場合は、税務上の家賃の基準があります。それに基づいた一定額の家賃であれば問題はありません。

多望
反対に、私の個人所有の不動産を事務所として会社に賃貸しているのですが、税務上どうなるのでしょうか。

所長
この場合も、賃貸借契約書が必要です。家賃が世間相場より高すぎることがないかなどをチェックする必要があります。

社長が会社から住宅を借りる場合

会社が所有している住宅を、社長が借りる場合、税務上は、役員社宅の家賃として、住宅の規模に応じた適正な家賃の基準(注1)があります。
社長が会社に支払う家賃が、税務上の適正な家賃と比べて、低すぎたり、あるいは無償の場合には、適正な家賃と実際に支払っている家賃との差額が社長への給与とされ、所得税が課税されます。(図表1・3)

社宅以外に、例えば、店舗用の建物を社長が会社から借りるような場合には、その物件の周辺相場(以下、時価)と比べて家賃が適正かどうかが問題になります。時価よりも低ければ、社長への給与とされます。

(注1)社宅家賃についての税務上の基準

社長、役員に対して社宅を貸す場合、1か月当たり一定額の家賃を受け取っていれば、給与として課税されません。この場合の家賃は、床面積などによって小規模の住宅、小規模以外の住宅、豪華な住宅などに分けて計算されます。具体的な計算方法については、国税庁HP・タックスアンサー「No.2600役員に社宅などを貸したとき」が参考になります。
(http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2600.htm)