復興特別法人税の実務上の注意点

復興特別法人税の実務上の注意点

多望社長は、東日本大震災からの復興支援の財源を確保するため復興特別法人税の納税が始まると知り、顧問会計事務所の所長に詳しい内容を聞きました。

多望
復興特別法人税は、いつからかかるのでしょうか。
所長
御社は、3月決算ですから、平成25年3月期の決算から申告・納税になります。
多望
今度の決算なんですね。そうすると、今期は増税になるのですか。
所長
いいえ、復興特別法人税はかかりますが平成25年3月からは、通常の法人税が減税になるため、トータルでは若干の減税になると思います。
多望
それは良かった。ところで、申告・納税はどうすればいいんでしょう。
所長
法人税の申告・納税時期と同じですが、法人税の申告書とは別に復興特別法人税の申告書を提出し、納税も別々にします。

3月決算法人は、平成25年3月期の決算申告から納税

復興特別法人税は、平成25年4月1日以後に最初に開始する事業年度から、原則として3年間にわたって課税されます。
3月末決算の企業であれば、平成25年3月期の決算申告からとなります。

税率は一律10%

税額は、通常の法人税額に対して一律10%の税率をかけて計算します。(図表2)
赤字申告や欠損金の繰越控除などによって法人税額も発生しません。
また、支払った復興特別法人税額を経費にすることはできません。

通常の法人税の申告書と復興特別法人申告書の提出が必要

復興特別法人税の申告・納税は、法人税の申告・納税と同じ時期に行います。
ただし、法人税の申告書とは別に、復興特別法人税の申告書の提出が必要です。中間申告は必要ありません。
なお、法人税の申告期限を延長している場合は、復興特別法人税も自動的に延長されます。電子申告による提出も可能です。

企業が受け取った預貯金の利子等に係る復興特別所得税は、還付が受けられる。

平成25年1月1日以後に受け取る預貯金の利子や配当金などには、源泉所得税の他に復興特別所得税が課せられています。
会社が受け取る預貯金の利子等にかかった復興特別所得税額は、発生した復興特別法人税額から控除することができます。
復興特別法人税額が発生しない場合でも、申告することによって、預貯金の利子等にかかった復興特別所得税額の還付を受けることができます。(図表3)

復興特別法人税額が発生しない場合でも、申告書を提出しておきましょう!

赤字申告の場合には、法人税額が0円となり、復興特別法人税額が発生しないため、復興特別法人税の申告書を提出する必要はありません。
しかし、後日、税務調査等によって黒字申告となり法人税額が発生した場合には、復興特別法人税額も発生してしまうため、復興特別法人税について無申告加算税(15%または20%)が課税されてしましぃます。
そのため、復興特別法人税額や、復興特別所得税額の還付金生じない場合でも、念のため申告書を期限内に提出しておくとよいでしょう。
これによって、無申告加算税ではなく、過少申告加算税(10%または15%)になるため、加算税うぃ軽減することができます。(図表4)