特例事業承継税制を活用

特例事業承継税制を活用いたしましょう!(第1回)

こんにちは!TKCうめもと会計事務所 代表税理士の梅本です。

今回からシリーズで【特例事業承継税制】という、いま注目されている最強の相続対策をお伝えしたいと思います。

みなさん、株取引をされたことはありますか?直接売買はしない方でもよくニュースで株価が上がった下がったなどよく耳にするかと思います。トヨタや東芝など上場会社の株は毎日売買されていて、儲かっている会社の株は高値で取引され赤字会社の株は下がります。ところで非上場会社の株価もこれと同じように価格がつきます。基本的な考えは同じです。利益がでている中小企業の株は高く評価され、赤字の場合は低くなります。当初会社を立ち上げた時の資本金が1000万円だったとします。10年後業績が伸び、利益が9000万円会社に内部留保されていたとします。すると会社の純資産は資本金1000万円+内部留保9000万円=1億円となります。つまり最初の元手1000万円が10年後10倍の1億円になった計算となり、これにともない株価も10倍になります。

とはいっても、中小企業の株は上場しているわけではありませんので、実際他人様に10倍の値段で売れる機会はあまりないでしょう。では、どういう場面で中小企業の株価が問題となるか?それは【贈与や相続】が発生した時です。先代社長が亡くなり、2代目が会社を引き継ぐ際に、当然自社の株式も相続されます。このとき自社株の金額は時価で算定され、黒字会社であれば上記のような計算が行われ、非上場の株式も時価で判定されます。これが、代々続く老舗会社や連年多額の利益を出している会社の株式であれば、その評価額は100倍や1000倍にもなるときがあり、億を超える相続税を支払うこともあります。何も黒字会社ではなくとも、含み益を有している会社の場合も同じです。例えば会社で購入した不動産や有価証券が高額に値上がりしていれば、その含み益も株価に反映され、同じように相続時には多額の税金を支払うはめになります。

このように相続が発生すると、ともすると中小企業の自社株は、とてつもない金額で評価されてしまい、莫大な相続税を納められずに苦しめられる中小企業の経営者たちが後を絶ちません。

自社の株なんか売れてお金になるわけでもないのに、なんで多額の税金が課せられるの?と一般常識からは考えられないことです。しかし税の世界では、日常茶飯事に起こり得る問題なのです。

このままでは、中小企業の事業承継がスムーズに行われなくなります。しかも中小企業の廃業率の高さがいま社会問題となっており、特に地方ではこのままいくと雇用の場が失われ大きな経済損失になると国の統計でも発表されている状況なのです。

そこで平成30年度の税法改正で、この問題に対応すべき策が発表されました。それが今回のテーマである【特例事業承継税制】です。

具体的には、一定の手続きを行うことで非上場株式の贈与や相続時における税金を支払わなくとも済むようにしようという画期的な内容の改正です。

まさにこれから子供に経営をバトンタッチしようと考えている経営者には、“朗報”と言えるでしょう。しかもこの制度を利用するには、今から5年以内に申請をしておく必要があり、これを逃すと今後永久にこの制度を使うことはできません。

みなさん、ぜひこの制度を活用して、節税に取り組んでまいりましょう!

次回以降では、この制度の概要、実務的な流れなどを述べていきたいと思います。

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