「中小会計要領」つてなに?
平成24年2月1日に、中小企業の会計ルールである「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)が公表されました。この「中小会計要領」は、大企業と違って、国際会計基準などと連動して変更打する必要のない国内中小企業のための会計ルールです。中小企業はこれを踏まえて経営を強化することが求められています。
これまでの会計実務と変わらない
所長:
「中小会計要領」という新しい会計ルールができました。
社長:
難しそうなお話ですね。
所長:
これまで中小企業の会計実務の中で慣習として行われてきた会計処理を、いわばルール化・文書化したもので、決して難しいものではないんですよ。
社長:
会計の話ならば、あとは先生にお任せします。
所長:
いえ、社長。経営に関係があるんです。中小会計要領は御社の「財務経営力」を高めるために大変重要なんです。
社長:
「財務経営力」というのは何ですか。
所長:
社長ご自身が会計等の数値をもとに自社の現状や方向性を金融機関等に語れる力といっていいでしょう。
社長:
なるほど。最近、金融機関から業績の説明を求められているんです。もう少し詳しく教えていただけますか。
どうして策定されたのか
中小会計要領が策定された背景には、今後の中小企業政策の方向性が関係しています。
平成23年12月に、中小企業庁の中小企業政策審議会・企業力強化部会が「グローバル競争下における今後の中小企業政策のあり方」を公表しました。この中で、人口減少・少子高齢化等による国内需要の減少、アジアをはじめとした新興国との競争激化や、国内大企業の海外移転などといった厳しい内外環境を勝ち抜く「自立的な中小企業」 の確立を目指すとしています。
(図表1)
そのためには、中小企業の戦略的経営力(注1)を強化する必要があり、今後、わが国の中小企業政策は、戦略的経営力を強化する方向に舵が切られることになります。
(注1)戦略的経営力とは
- 財務経営力(経営状況を把握し、経営計画を立案する能力)
- 資金の確保・調達力
- 成長のための知恵・矢口識・ノウハウ
- 国際競争に耐えうる技術力・人材
とりわけ、中小企業に共通する財務経営力と資金の確保・調達力を強化するため、以下の施策を掲げています。
- 経営支援の担い手の多様化・活性化(中小企業経営力強化支援法として成立)
- 経営と金融の一体的支援
- 財務経営力の強化
特に、(財務経営力を強化)するには、どうしても一定のルールが必要であり、そのため中小会計要領が公表されたのです。